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栄四郎瓦
1801年創業—屋根を守り続けた二百年、その先へ。栄四郎瓦が語る未来
栄四郎瓦 樅山社長 × ウチノ板金 内野(屋根展主宰)
内野氏:今日は“屋根の未来”を軸に、栄四郎瓦さんのものづくりの哲学、業界の現在地、そして次の一手を伺います。まずは原点からお聞かせください。
樅山氏:私たちは200年ほど前、愛知県・三河の地で瓦づくりを行う窯元として創業しました。三河は良質な粘土に恵まれ、運河と海運に支えられて陶業が発展してきた土地です。弊社にとって瓦づくりは、単なる屋根材の製造ではなく、風景と暮らしを守る文化を次世代へつなぐ営みだと考えています。土と火に向き合い、一枚一枚に向き合う姿勢は創業当時から変わらず、今も私たちの芯になっています。
内野氏:瓦の魅力やメリットを、住まい手の目線で教えてください。
樅山氏:一言でいえば「長く、美しく、強い」です。まず長寿命。塗装前提ではないためメンテナンス周期が長く、生涯コストを抑えやすい点は大きな利点です。加えて、美観の面では、いぶしの陰影や瓦の質感が、経年変化も含めて住まいの風景をつくります。さらに、通気層や断熱と組み合わせることで夏の熱負荷を和らげやすいのもメリットです。伝統材でありながら、美観と性能を兼ね備えることこそが瓦の価値だと思います。
内野氏:私は板金屋ですが、長期の維持管理まで見ると「瓦」がベストだと感じる場面が多いです。一方、施工できる“手”が足りないのも現実ですよね。
樅山氏:そこが最大のボトルネックです。瓦の出荷数も年々減少しておりメーカーとしては大変な状況ですが、材料より先に施工体制が逼迫するのが実情です。大規模災害時は特に顕在化します。材料はあるが、職人が足らず施工ができない。そうならないよう、標準化と教育、そして現場を支える仕組みを整えることが急務だと考えています。
内野氏:メーカー同士で競争するだけでなく“共助”の話も印象的でした。
樅山氏:はい。粘土や金型の供給など、メーカー間でバックエンドを支え合う取り組みを進めています。災害時の対策やマーケットが縮小する局面では、個社だけでは解けない課題が増えます。産業を存続させるための連携が欠かせません。
内野氏:国内だけでなく最近では海外案件も増えてると伺います。
樅山氏:寺社建築や日本庭園、和意匠のホテルなどで輸出・現地施工支援の実績が増えています。一件当たりの規模が大きいプロジェクトもあり、日本の価値を瓦と共に広めると共に、生産数増加の取り組みにつなげています。輸送や品質管理、現地の施工環境への適合も意識しながら取り組みを積み重ねています。
内野氏:設計の世界でも、瓦の“復権”を感じます。
樅山氏:ええ。瓦の持ち味を理解して選ぶ設計者が少しずつ増えています。ただし、瓦の出荷数の減少を食い止めるほどにはなっていません。設計者だけでなく、一般の住まい手の方々にも瓦の魅力を伝えていく活動が必要です。地道な発信と対話の積み上げが大切だと思います。
内野氏:屋根展では、屋根のプロが直接住まい手に屋根についての情報を伝えます。
樅山氏:今は工務店やハウスメーカーが屋根材を選ぶことが多く、住まい手はどのような屋根材を採用しているか知らない方も多くいます。消費者に瓦のよさを直接伝えることができていません。屋根展では屋根屋さんが瓦の魅力を直接伝えることができるので、顔の見える屋根屋さんと住まい手が結びつくこの活動を、私たちも応援したいですね。相談のハードルが下がることも、大きな意味があります。
内野氏:屋根展を開催している屋根屋さんにメッセージはありますか。
樅山氏:製造メーカーだけが取り組んでもできることには限界があります。施工と製造がタッグを組んで、住まい手に価値を伝えていきたいと思っています。伝統も大事ですが、新しいものを作り出していける活気のある業界にしていきたいです。そのための一歩を、各地の取り組みからご一緒できればと考えています。


